HIDA TAKAYAMA WINE APOTHECARYは、2023年7月に開業した新しいワイナリーです。自然豊かな岐阜県高山市久々野(くぐの)町の丘の上にあります。岐阜県飛騨地方で初のワイナリーで、欧州系ブドウ品種(ヴィテス・ヴィニフェラ種)を自社栽培醸造するワイナリーとしては岐阜県初。 ブドウ畑は、久々野町小坊地区の標高800メートルの冷涼な場所にあり、主に白ワイン用品種を栽培しています。醸造施設は久々野町大西地区の乗鞍岳を望む牧草地の真ん中にあり、将来的には牧草地をワイン用ブドウ畑に改植していく予定です。
屋号は「飛騨高山ワインアポセカリー」です。 アポセカリー(APOTHECARY)とは古風な英語で薬局や薬剤師を意味し、元は貯蔵庫の意から転じたものです。経営母体が調剤薬局であり、妻が薬剤師でもあることから、薬局のワイン、ワインの貯蔵庫という意味を掛け合わせたいと思い命名しました。
ブランドロゴは、高山市内のデザイナー稲越昭太郎氏による作品です。 乗鞍岳の浮かぶワイングラスの周りに、同岳に生息するホシガラスという鳥をあしらったデザインになっています。体に夜空のような模様のあるこの鳥は、餌を貯蔵するという特性があり、アポセカリー(貯蔵庫)の意味とシンクロし、周辺環境をイメージした象徴的な生き物として、シンボルマークに採用しました。
尚、デザイナーの稲越氏には、ブランドロゴだけではなく、ワインのラベルデザイン等、ブランド全体のデザイン監修をお願いしています。
お酒文化の豊かな飛騨高山には、酒蔵が7軒、ブルワリーが2軒(現在はウィスキー工場やリキュール工場もあります。)もあるのにワイナリーが1軒もありませんでした。
ワイン作りは基本的には農業であり、地元で収穫された原料だけで醸造するということが、ワイン用ブドウの栽培実績のない飛騨地方ではワイナリー設立の高いハードルになっていました。そこで、私たち夫婦は耕作放棄地を再生しながら、ワイン用ブドウの栽培から始めることにしました。県内初の試みですので、飛騨高山での農作業と並行して、最初の1年間は長野県のヴィラデスト
ガーデンファーム アンド ワイナリーとアルカンヴィーニュに、その後の3年間は富山県のセイズファームでブドウ栽培やワイン醸造の勉強をしました。
ワイン好きが高じて、より良い環境でのワイン作りを求めるなら、国内外の銘醸地を選んだと思います。しかし、私たち夫婦は、食文化の豊かな地元飛騨高山にワインという新しい選択肢を加えてみたいという思いが強かったので、飛騨高山で挑戦すること、飛騨高山でしか出来ないワインを生み出すことを選択しました。
耕作放棄地の再生と並行して過去15年の気象データを分析したところ、飛騨地方も他の地域と同様に温暖化が進んでいることがわかりました。私たちの畑のある久々野町小坊地区は、アメリン&ウィンクラーの気候区分(ワイン用ブドウの品種選定での目安となる指標)でリージョン1とリージョン2を行ったり来たりしているところです。